すぎやまの日々

鉄道&Eスポーツライターの日常とか。

『パラドックス13』 東野圭吾


主人公の刑事、久我冬樹が意識を取り戻したとき、東京は壊滅していた。突如、人々が消滅し、あらゆるシステムが暴走した。無人の街に取り残された10人の男女のサバイバルが始まった。喪失感を克服し、無人の建物に侵入、食料を奪う。この世界を生き抜くため、殺人も含めて、すべての善悪はリセットされた。そんな彼らに台風やインフルエンザが襲いかかる。この世界になにが起きたか、そして彼らの運命は……。

久しぶりに小説に没入。面白かったです。刑事が主人公だけどミステリーではなく、パニック物語です。小松左京の『首都喪失』をちょっと思い出した。だから、ドキドキハラハラしながら読みつつも、ラストはそんなオチ……何ごともなく世界は元通りになるのかな……と思いました。いやいや、そこは東野圭吾さんです。伏線を張り巡らし、きちんと回収して終わります。そしてかなりメッセージ性を感じました。ネタバレになるから<続きを読む>以降で。

おっと、その前に昨日の摂取カロリー
間食:1545.0kcal ポップコーン アイス つくね もも かんぴょう巻き2本 いなり寿司5個
朝食:742.0kcal かつ重 
昼食:0.0kcal 
夕食:389.8kcal ミルクフランスパン ハム20g レタス15g マヨネーズハーフカロリー大さじ1 からあげ3個
合計:2676.8kcal 摂取超過 1176.8 月間合計: 45475.9 月間平均 2067.1
食べ過ぎ(笑) 検査数値が良かったから緩めた……
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『アイの物語』

いまはなきラジオ番組『AVANTI』で、ときどき書評家の目黒考ニさんがオススメの本を紹介していました。本書もそうです。目黒さんのオススメ本は、本屋さんで思い出した時に買って読むんですけど、なるほどどれも面白い。ヒット率が高い。感性が似てるんだろうな……。そういえば『あぽやん』も目黒さんがきっかけで読んだな。AVANTIがなくても、ほかに目黒さんの書評はあるんですけどね。やっぱりAVANTIで聞きたかった。


さて、『アイの物語』はラブロマンスじゃなくてSF作品。ロボットに占領されて百年以上も過ぎ、荒廃した時代。わずかに残った人類のコロニーを巡って旅する主人公の前に、女性型アンドロイド "アイビス" が降り立つ。戦い敗れた主人公は、アンドロイド側に収容される。そこでどんな仕打ちが……と思ったら、アイビスは延々と彼に物語を聴かせる。幾つもの物語。そして最後に、この世界の本当の歴史とアンドロイド達の目的が明かされる。

アイビスが語る小説は、人類とロボットに関するフィクション。つまり、本作はロボットもののSF短篇集で、合間にアイビスと主人公の対話を挟んでいる形。小さな文字の長編だけど、短篇集だからテンポよく読めます。ロボットが意思を持った時、それは人類の敵か味方か? 最後の展開にビックリです。

うん、目黒さんの書評にはかなわない(笑)

AVANTI、たまーに復活してくれないかなあ。あるいは、別でもいいからあんなスタイルの番組がほしい。AVANTIの後番組も悪くないけど、なんか落ち着きが無いんだよね……。

 
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『ユーラシアの双子』





富山から船でロシアへ。シベリア鉄道でモスクワへ。さらに鉄道の旅を続けてスペインへ。ユーラシア大陸横断鉄道の旅。それだけでも羨ましいってのに、この作家さんは取材を口実に列車に乗って小説まで書いちゃってさあ……なんて思ってました(笑)。実は単行本が出た時から気になっていて、文庫になるまでずっと待ってた。文庫派の私です。たまたま本屋さんでみつけて、移動中に少しずつ読んで、ようやく読了。長編だけどテンポが良くて、さくさく読み進めるんですけどね。なにせ移動する機会が少ない暮らしです。

さて、本書は不遇な中年男が主人公。奥さんとは離婚し、長女には死別。会社の早期退職勧告を受けて一人暮らし。退職金と失業手当で生活しています。まあお金はあるんだよね。やりたい仕事がなくてさ……という感じ。そんななか、ハローワークでシベリア鉄道の旅を思いついてしまう。それもいいな、と旅に出た。

ところが、ロシアに着いてすぐに、自分の日程の少し前を自殺志願者の若い日本人女性が行動していると知る。地の果てで死ぬために旅をしているという。その様子が死別した長女と重なり、主人公は追いかけていきます。1ヶ月近くの列車の旅は、紀行文としては退屈だけど、幻影のような美女を追うという要素のおかげで、先へ先へと読み進みたくなる。とくに、主人公がユーラシアへ旅立つ理由のひとつや、なぜ彼女を助けたいか。本人も気づかなかった真実が、すこしずつ明かされていく展開が面白い。オッサン版の深夜特急みたいな感じです。映画にするには尺が足りないな。連続ドラマになるといいな。
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『真夏の方程式』東野圭吾


帝都大学准教授の湯川は、海洋調査で海辺の町を訪れる。投宿した旅館の客は湯川と初老の男性のみ。ところが、その男性の転落死体が発見された。地元の警察は事故で処理する方針。しかし、男性が元警視庁の刑事と判明し、湯川の友人の草薙刑事が特命を受けて捜査を始めた……。ふだんから事件に無関心な湯川も、今回は熱心に捜査を始める。

ガリレオシリーズにしては珍しく、トリックより人物描写に重きをおいた感じです。湯川と地元の少年との交流が良かった。

映画化決定だそうで。

あ、あの女性の役、杏さんがやるんだ。他のキャスティングもイメージ通りだな。観に行こう。もう犯人知ってるけどw
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望郷の道

新聞連載小説で、単行本は2009年の発売。文庫で読む私には待望の新刊です。

明治時代。北九州で石炭輸送船の船頭が、佐賀で賭場を切り盛りする女親分に婿入りする。しかし賭場を守るため勝負に出て、大親分から九州追放処分になってしまう。目指したところは日本統治下の台湾。そこで菓子職人に転じた男の物語。なんと、モデルは北方謙三さんのご先祖だとか。

現代物が減って、歴史ロマンに重きをおく北方さんには珍しい近代もの。そして、ハードボイルド風でありながらサクセスストーリー。夢中で読みました。相変わらず文章ひとつひとつがカッコイイ。婿入りの桜のシーンなんて、ほんとうに色鮮やかで。この場面が印象にあるからこそ、主人公の望郷の思いがひしひしと伝わってきます。妻となる女親分もカッコいい。しびれる。

ストーリー構成としては、ジェフリー・アーチャーの『チェルシー・テラスへの道』に近いかな。商売を大きくしても基本を忘れない。仕事の鬼でありながら、家族の幸せを第一に考える。陰険なライバルとの戦いもあり、ほんとうに見事。そういえば、肉弾戦ばかりという印象の北方作品としては珍しく、インテリな経済戦も描かれています。日経の連載だったからかな……。

文庫解説で続編を読みたいとありましたが、そりゃ野暮でしょう。ここで終わるからいいんじゃないの。これこそが北方謙三の美学ですよ。主人公とともに喜び、腹を立て、そして泣ける。ふかーく泣ける。読書って楽しいなあ!
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壺霊

 
ひさしぶりに浅見光彦シリーズです。忙しさとお金がなくて、1年くらい文庫化作品を買ってなかった(^-^;) Amazonでまとめて買おうと思ったけど、半年前くらい前の本なら古本屋にありそうだと思って、セーブ。今回は文庫最新作の壺霊だけ買って、もうすぐ出る新作を予約。

さて、壺霊です。面白かった! 内田センセ、衰え知らず。量より質の生産体制ですね……って失礼なこといいましたゴメンナサイ。

ライターとして、おいしすぎる取材仕事。絶対ウラがある。わかる! わかるよそれ! でも引き受けるように仕向けられ、行ってみれば若い美女が。なんというけしからん展開なんでしょうか。京都に行きたいなあ。

今回は謎解きがスムーズで、浅見と一体感を得られるテンポでした。しかしひとつだけ。軽井沢在住の内田センセはご存じないかもしれませんが、天下一品は東京にもたくさんあります。33歳のお坊ちゃまだって食べてなきゃ変だよう。まさか京都で天一初体験はないんじゃないかなぁ。

文庫本、溜まってきました。そろそろオレゴン図書館に寄贈しなくちゃ(笑) 待っててね。

間食:1160.0kcal スナック菓子 磯辺餅 安倍川餅 せんべい 
朝食:659.0kcal おにぎり梅 おにぎり鮭 きんぴら 筑前煮 
昼食:322.0kcal ランチパック三種のマロン味(マロン風味の板チョコ入り)  
夕食:440.0kcal ランチパックめいほう鶏ちゃん風 ランチパックカマンベールチーズ風味のポテトサラダ
合計:2581.0kcal 摂取超過1081.0 月間合計: 11595.2 月間平均 1932.5
いやいやいや〜食べ過ぎ。始まっちゃった今月もorz
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プラチナデータ


安定、安心の東野圭吾作品。今回も一気にラストまで読めました。東野圭吾にしては珍しい近未来設定で、おそらく初めての陰謀モノ。科学捜査は便利で確実だけど、やっぱりウラがあるよね。犯罪の結果から逮捕するまでは進化するけど、なぜ犯罪が起きたか、という部分が解明されない。このシステムだと、大津のいじめ殺人は解決できない。つまり、検挙率は上がるけど犯罪は減らない気がするんだけど……どうでしょう?

早くも映画化が決まっているそうです。今までの東野圭吾作品は映像化が難しかったと思うけど、おそらく、本作品は作者も映像化を念頭に書いていると思う。文章に凝ったトリックがない。伏線も分かりやすい。情景描写が明瞭。ラストシーンで泣けそう。映画化が楽しみです。
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孤高の人



単独行で後世に名を残した登山家、加藤文太郎。その短い登山人生を、本人の手記のもとで小説とした作品。新田次郎の代表作です。

実際の人だし本人の手記もあるから、登山の場面は迫力があります。寒さや飢え、疲労、睡魔との戦いは、読んで没入すると自分も遭難しそうな迫力。彼の周りの人物もキャラが立ってます。

加藤文太郎がなぜ単独行動を好んだか。孤独の気楽さを選択する一方、どうにも人恋しくなるという心理。一人旅ばかりの私にはよくわかります。まあ、登山に比べて汽車旅は安全すぎて、比べるなんて失礼ですけど(笑)。

初めて新田次郎作品を読みました。引き込まれました。1ページを越える段落を一気に読ませます。すごい。他の作品も読んでみよう。

孤高の人を原作とした現代版コミックもあります。実は、小説もコミックも週末の仕事仲間が貸してくれました。本を勧めてくれる友人っていいね。感謝。
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聖女の救済


探偵ガリレオこと湯川準教授シリーズ。被害者は夫。事件は東京で起きます。犯人は冒頭で妻と明かされています。夫の殺害を決心した妻は北海道の実家に里帰り。計画通り夫は毒殺。では、どんな方法で殺したか。

文庫最新刊。さすが東野圭吾さんです。期待を裏切らない。見事なトリックでした。今回も、読み終えた後でまた冒頭から読み直しました。なるほどなるほど。ちゃんと伏線が用意してある。犯人の意図もよくわかる。

今回は犯人が女性で、彼女を最初に疑う刑事は内海薫。短編と直木賞受賞作の容疑者Xの献身までは存在せず、映像化の際に追加されたキャラクターです。その後、次の短編から原作にも登場しました。後付けキャラはお飾りになりがちだけど、今回は内海薫が活躍します。たぶん、内海の存在に整合性を与えるための作品かもしれません。

で、この作品も映像化されるのかなあ。難しそうだなあ。地味な場面ばかりだし。(笑)
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歪笑小説を読んだよ

東野圭吾さんの○笑小説シリーズは、出版、とくに小説分野の業界を描くコメディ短篇集。文学賞を取り巻く駆け引きや作家の心情を面白おかしく書くわけで、東野さん自身が関係する業界の内情暴露的な……こんなことかいていいの? みたいな。かつては筒井康隆の、大いなる助走つてのがありましたね。

ところが今回はちょっと趣が変わって、ドタバタしつつも、心温まるエピソードが多め。新人作家が先輩から励まされる話や、売れずに見放された作家の一途の可能性に賭けるベテラン編集者の話がちょっと泣けた。ラストで東野的な急展開オチもあった。あんまり期待していなかったけど、ちゃんと東野作品だった。うーむ。傍流作品だと思ってた。こんなはずじゃなかった。さすが東野圭吾さんだ。

最終章は作家の結婚がテーマで、ハッピーエンドながら前途多難という結末。ところが、そのフォローアップが巻末広告で行われていた。第二のハッピーエンド。ニヤリとさせられ、あーよかったなあ! といい読後感になった。こんなところに仕掛けを用意しておくなんて。しかも、文庫本書き下ろしならではのオチ。うまいなあ。でも、これまた映像化しにくいオチだ。連ドラにして、最終回のエンディングのあとに本の表紙と帯をインサートって感じかな。
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死亡フラグがたちました!

主人公はサブカル雑誌のフリーライター。雑誌の存亡の危機に彼に渡された企画は、「秘密のベールに包まれた殺し屋『死神』を突き止めよ」。締切が刻々と迫る中、頭の回転の早い先輩、編集部の隣の事務所のヤクザの協力を得て、真実に近づいていく。一方、17年前の殺人事件を追う刑事たちも『死神』に近づき……。
タイトルからして釣りっぽかった(笑)。でもそこが潔い気がして読んでみた。前半の引き込みと、後半の畳みかけるような展開が良かった。予想に反してしっかりした探偵小説でした。

解説にもあるんだけど、東野圭吾の「白夜行」を読んだ人なら、だいたい犯人が判っちゃう。あと、ラストのドタバタブリがまるでコント。ドリフの全員集合の「ツッテテッテ、テッテケテッテ……」なんてBGMが流れそう。面白いからいいんだけど、直前までハードボイルドの香りがしたのに、最後になんで? と思った。

解説を読んだら、この作品はもともと倍くらいの文字数で、長すぎという指摘を受けて大改稿したそうで。余分な文を切ってスピード感を出したんだと。なるほど納得。でもそうなると、オリジナル版も読みたくなっちゃうなあ。完全版とかないかな。
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【読書】夜明けの街で


夜明けの街で (角川文庫)

夜明けの街で (角川文庫)

角川書店(角川グループパブリッシング)


俺には優しい妻とかわいい娘がいる。不倫なんて馬鹿がやることさ。そんな男に生まれてしまった恋心。しかし、彼の不倫の相手は殺人事件関係者だった……。

家庭と恋の両立に悩み、そこに殺人事件が絡んで戸惑う。男って馬鹿だなあとニヤニヤできるサスペンス。夫であり父親であるという理性を保ちつつ、どんどん恋人に傾倒していく主人公。そこには男として共感できる部分が多い。なんたって相手は若く、意地っ張りで、暗い秘密を抱えている。惚れてまうやろって感じ。

好きになったら相手に関することは何でも知りたい。でも彼女の場合は特殊。なにしろ実家が殺人事件の現場だったから。恋の進展とともに近づく時効。単なる不倫恋愛物語ではなく、結末には東野作品独特のビックリ箱的な種明かしが用意され、ミステリーファンを裏切らない。

東野さんは白夜行などで魔性の美女を登場させるけれど、今回のヒロインもそれに近い。女性にとっては、主人公の妻にしても愛人にしても、こんなに都合のいい女なんて……と思うでしょう。しかし、そこにも納得できる答えがちゃんと用意されている。いやあ、結末も意外だし、この物語の後の主人公の運命も気になって仕方ないです。女って怖い……。
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【読書】悪魔の種子


茨城県霞ヶ浦で他殺体が発見される。身元は長岡の農業研究所の職員だった。死体発見者は水産試験場の職員だった。その少し前に、茨城県の農業研究所の職員が秋田県で殺された。容疑者にほのかな恋心を寄せる女性は、無実を信じて親友に相談する。「あなたの"お坊ちゃま"に助けてほしい……」。"お坊ちゃま"こと浅見光彦は、お世話になっているお手伝いのスミちゃんのため事件現場へ。二つの事件が結びついたとき、水稲の品種改良にかかわる黒い動きが姿を現した!

浅見光彦シリーズは、ヒロイン役と光彦の絶妙な距離感がお約束。実は刑事局長の弟、という挿話も定番だ。寅さんと水戸黄門の要素を現代の推理小説に持ち込んだわけだから、人気シリーズになるのも当然。ところが今回はヒロイン不在。序盤に登場するスミちゃんの親友がそうかな、と思うけれど、彼女には心に決めた人がいる。浅見の身元は早々にさらりと明かされる。だから捜査しやすいったらありゃしない。
 
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【読書】風の盆幻想


富山県、越中八尾で開催される「おわら風の盆」。関東ではあまり知られていないけれど、近畿地方では有名な祭りだ。物悲しい胡弓の調べにあわせて、たおやかな女踊り、力強い男踊りが街を流れて行く。その魅力的な風情に浸ろうと、なんと25万人もの観光客が訪れるという。しかし、規模が大きくなるほど当初の風情は薄れていく。街の経済のために祭りを発展させようとする動きと、元の姿を維持しようとする動きがぶつかり始める。そのさざ波のようなせめぎあいのなかで殺人事件が発生。町に波紋を広げていく……。
 
浅見光彦シリーズとしては異色の作品。まず浅見に憧れ、ほのかな恋心を抱くヒロインがいない。「実は刑事局長の弟です」「ええっ!」もない(笑)。浅見は初めから事件解決に乗り込む探偵として現地に向かう。小さな町の素封家同士の対立の構造や、その対立によって引き裂かれた恋人同士、という設定は、どちらかというと横溝正史っぽい雰囲気。もしかしたら、執筆当時生誕100年だった横溝へのオマージュかもしれない。
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使命と魂のリミット -東野圭吾-


使命と魂のリミット (角川文庫)

使命と魂のリミット (角川文庫)

角川書店(角川グループパブリッシング)



 嘘だったかもしれないけど、
    昨日までは恋人だった……

動脈瘤除去手術で父親を失った夕紀は、父親の死の真相に近づくために研修医となり、父親の執刀医、西園に近づいた。しかし夕紀は母親と西園の再婚を知り動揺する。そんなとき、大学病院に脅迫状が届く。
「過去の医療過誤をすべて公表し、謝罪せよ」
犯人の目的がわからぬまま、夕紀と西園はVIP患者の動脈瘤除去手術を開始した。それを待っていたかのように犯人は実力を行使する。命を奪おうとする者と、守ろうとする者、それぞれの戦いが錯綜する……。


東野圭吾作品の久々の文庫化です。今回は病院を舞台としたサスペンス作品でした。巧みな伏線を張って最後にびっくりさせる「東野トリック」がありません。いや、もしかしたらラストの西園の告白がそうなのかもしれないけど、静かなインパクトでした。「さまよう刃」のように、時系列に沿って進行する素直なヒューマンドラマです。序盤から結末に向かって順調に盛り上げてくれるので、ラストは感動します。

でも、さんざんメカニック寄りの仕掛けを作っておいて情で解決しちゃうってのも「うーん」なんだよなー。あと、自動車事故のエピソードが出てきますが、それがちょうどいまアメリカで問題となっている件と重なります。すごいタイミングですね。ハードカバーが4年前の発売なので、東野氏には予知能力があるのかも。そこにビックリです。

ヒガシノ流トリックがないけれど、それだけに映像化しやすいともいえます。2時間ドラマになったら見たいな。
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『ダナエ』『遊戯』藤原伊織



ちょっと余裕が出てきて、買っておいた文庫小説を読み始めた。藤原伊織さんは元電通の人。2007年に59歳という若さで亡くなりました。テロリストのパラソルというハードボイルドを読んでから、彼の小説を読み始めました。そして、この2冊で最後です。

『ダナエ』は短編集。男の枯れ具合をかっこよく書いています。長年生きてきて、あるていど人脈や豊かさも身に付いて、しかし、それを振りかざせばワガママ親父になっちゃう。では、そんな男はどのようなときに格好良く権利を行使するか。そんなテーマです。こういう男になりたいな。でも寂しいな、という。

『遊戯』は長編です。オンライン対戦のビリヤードゲームで知り合った男と女。男は毎晩、実弾入りの拳銃を抱いて寝る。女は刑事の娘。女の就職相談でふたりが出会ってから、運命が動き始めます。この話はすぐに引き込まれました。女が成功していき、それを男は遠くから見守っていた。そこに、不穏な男の陰が見え隠れする。ふたりはこれからどうなるのか。関係が進展しかけたそのとき、事件が起こります。

……作家の逝去。この作品は藤原伊織の未完の遺作でした。

50代の作家がオンラインゲームをうまく小道具していることに好感触。藤原氏は麻雀が好きだそうで、オンライン麻雀の経験をビリヤードに置き換えたのかなと思います。ああ、続きが読みたいってところで、もう読めない。とても残念。あの世で書いていてくれますかね。そしたらちょっと楽しみも残るってものですが。

併録されている『オルゴール』は挫折感たっぷりで、これも病床の作者の悲哀がこもっているようでした。
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直木賞作家さんがEスポーツに気づいたようです



ミステリー作家東野圭吾氏の文庫最新刊。東野氏はウィンタースポーツのファンで『鳥人計画』というスキージャンプに関する作品を書いたこともある。ドラマ『ガリレオ』『白夜行』『流星の絆』、映画『容疑者xの献身』で有名です。だけど本作品は小説ではなく、小説風のエッセイと言っていい。飼い猫の夢吉が人間に変身する。それをいいことに、東野氏は夢吉を冬季オリンピック選手にしようとする。これが第一幕。選手の夢をあきらめ、トリノオリンピック観戦に出かける。これが第二幕。

東野氏の小説の緻密さと構成力が好きな僕としてはちょっと物足りない。もっともこれは小説仕立てのエッセイだから仕方ない。第一幕は日本のウィンタースポーツの現状のレポートで、雑学的な知識を得られる。第二幕は紀行文としてそれなりに楽しめる。ウィンタースポーツファンなら僕よりももっと楽しめるだろうと思う。

注目すべきは文庫版付録という短編小説だ。第三幕的な続編で、夢吉が主人公。舞台は2056年の某都市。まずビックリさせられることは、この時代、冬季オリンピックはないのだ。なぜなら、地球の温暖化が進み、人々が住むところには雪が降らなくなってしまったから。残った競技はプラスティックリンクのフィギュアスケートのみ。それも、プラスティックリンクなら夏の競技でいい、というわけで、すべての競技は夏に統合されてしまった。

そんな世界でも、スキーの回転競技、ノルディック、バイアスロン、ハーフパイプなどが行われている。ただし室内でシミュレーターで競技されていた。これですよこれ。地球温暖化が進むと、ウィンタースポーツはEスポーツにならざるを得ない。これはものすごく示唆に富んだ描写でありました。僕らが声高に主張しなくても、こういう形で始まるEスポーツってのはありそうです。温暖化は困るけど。
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さまよう刃


さまよう刃 (角川文庫 ひ 16-6)

さまよう刃 (角川文庫 ひ 16-6)

角川グループパブリッシング
復讐する男。追われつつ追う。



「だけどこうなってはじめて思い知ったんです。法律は人間の弱さを理解していない、と」

娘を陵辱され殺された男。犯人は少年。法は娘に報いてくれない。悲嘆にくれる父親にかかってきた密告電話。そして彼は復讐を始める。犯人を追う父親。その父親を追う刑事たち。同情できない少年犯を守るために、被害者の父親を捕らえなくてはいけないのか。刑事たちもまた葛藤する。
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波王の秋


波王の秋(とき) (集英社文庫)

波王の秋(とき) (集英社文庫)

集英社
南北朝時代、三度目の元寇を阻止した男たちがいた!



南北朝の時代。済州島の使者が九州北部に上陸する。両者は結託し、元に対抗する独立部隊「波王水軍」を結成した。波王こと小四郎の祖国を守るための戦いが始まる!
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愚か者死すべし 原


「父の無実を証明してほしい」という女の依頼で、探偵、沢崎は新宿警察署へ向かう。しかし、沢崎の目前で依頼人の父親は狙撃され負傷。付近にいた警官は殺された。一方、自首するつもりだった真犯人は老人誘拐事件に巻き込まれていた。沢崎は好奇心の思うまま事件に深く関わり、自らも命を狙われる……。

 チャンドラーに心酔する直木賞作家、原錣気鵑梁茖敢遒文庫化されました。単行本は2004年に出版されています。前作『さらば長き眠り』から9年経っています。この9年間で沢崎は少々頑固になったようで、依頼人からの法外な報酬を決して受け取りません。いや、それは今までもそうだったな。そして今回は、女性への対応もあっさり。沢崎はいい感じで枯れてきたようです。金や権威を無縁なものと割り切り、遠ざけようとする姿勢に潔さを感じます。

 派手なアクション場面はありませんが、冷静沈着に謎を解き明かし、入り組んだ事件を収束させていきます。西蒲田の引きこもり青年とのやりとりなど、沢崎の流儀に影響される人が増えていくのも面白い。強く印象に残る場面は少ないですが、悟りを開いたような語り口が全体にちりばめられています。うまいなー、いつか使ってみたいなーというフレーズがいくつも出てくる。まさに正統派ハードボイルドの文章です。
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